都市部で増える「慢性的な疲労」の正体
- 大橋しん

- 5 日前
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更新日:2 日前

※この記事は「体の使い方シリーズ」の一部です。
「しっかり寝ているはずなのに疲れが取れない」「特別な病気はないと言われたが、常にだるい」
こうした慢性的な疲労を訴える人は、年々増えています。とくに都市部に暮らす人ほど、その傾向は顕著です。
これは個人の体力や気持ちの問題ではなく、都市の生活環境そのものが疲労を生みやすい構造になっているためです。
都市は「常に緊張を強いられる環境」
都市部の特徴を挙げると、次のような点が見えてきます。
人や情報が多く、常に刺激にさらされている
電車や人混みで、無意識に身体を固める場面が多い
騒音や人工的な光が多く、感覚が休まらない
移動は長いが、実際の身体活動は少ない
これらはすべて、身体を無意識に緊張させ続ける要因です。問題は、この緊張が「自覚されにくい」ことにあります。
疲労は「動きすぎ」ではなく「固まり続ける」ことで生じる
慢性的な疲労というと、「働きすぎ」「動きすぎ」が原因だと思われがちです。しかし実際には、同じ姿勢・同じ使い方で固まり続けることが大きく影響します。
都市生活では、
長時間のデスクワーク
スマートフォンを見続ける姿勢
緊張したままの立位や座位
といった状態が日常化しています。身体は動いていないようで、内部では筋肉や神経が休まらず、エネルギーを消耗し続けています。
その結果、「何もしていないのに疲れる」という感覚が生まれます。
回復できない最大の理由は「切り替えのなさ」
本来、人の身体は緊張 → 回復 → 緊張 → 回復というリズムを繰り返すことで健康を保っています。
しかし都市部では、
仕事の緊張が移動中も続く
帰宅後も情報に触れ続ける
休んでいるつもりでも身体は緊張したまま
という状態になりがちです。つまり、回復に切り替わる時間がほとんどないのです。
慢性的疲労から抜け出すために必要な視点
慢性的な疲労に対して必要なのは、「もっと頑張ること」でも「無理に運動量を増やすこと」でもありません。
重要なのは、
余計な緊張に気づくこと
身体の使い方をシンプルに戻すこと
日常の中に“回復する質の動き”を取り戻すこと
都市生活をすぐに変えることは難しくても、身体との付き合い方は変えられます。
都市で生きるからこそ、身体感覚を取り戻す
慢性的な疲労は、身体からの「この使い方は無理がある」という静かなサインです。都市で便利に暮らしているからこそ、身体の声は小さく、見逃されやすくなります。
疲労を敵とせず、原因を個人の弱さにせず、環境と身体の関係として捉え直すこと。
それが、都市部で疲れ続けない身体を取り戻す第一歩になります。
疲労に対する太極拳やアレクサンダー・テクニークの役割
理学療法士として臨床や指導に携わる中で、都市部に暮らす方ほど慢性的な疲労を訴えるケースを多く見てきましたが、慢性的な疲労の背景には、「力を抜こうとしても抜けない身体」があります。これは筋力不足ではなく、身体の使い方が固定化している状態です。
太極拳やアレクサンダー・テクニークが都市部の慢性疲労と相性が良い理由は、共通して次の点を扱うからです。
余計な力を使っていることに気づく
動きの中で緊張を手放す
姿勢を「保つもの」から「変化し続けるもの」と捉え直す
太極拳では、ゆっくりとした動きの中で全身の連動を取り戻します。アレクサンダー・テクニークでは、「正そう」とする癖そのものをやめることで、自然なバランスを回復させます。
どちらも、疲労を押し返すのではなく、疲労を生まない使い方へ戻す方法です。
「休んでいるのに疲れが取れない」理由
慢性的な疲労を抱える人ほど、「ちゃんと休んでいます」と言います。しかし、ここで問題になるのが「休む」と「回復する」の違いです。
休む:動かない、横になる、何もしない
回復する:緊張がほどけ、呼吸や重さのバランスが変わる
都市部では、横になっていても、
首や肩に力が入ったまま
呼吸が浅いまま
頭だけが働き続けている
という状態が起こりやすくなります。これは休んでいても、身体は回復していません。
回復とは、身体が環境に対して構え続けるのをやめた状態です。その切り替えを学ばない限り、睡眠時間を増やしても疲労感は残り続けます。
都市生活に必要なのは「強さ」ではなく「柔らかさ」
都市部で暮らすためには、無意識のうちに身体を固める能力が求められます。それ自体は悪いことではありません。
問題は、固めた身体を元に戻す術を持っていないことです。
慢性的な疲労を感じている人は、怠けているのではなく、むしろ「ずっと頑張り続けてきた身体」なのです。
だからこそ必要なのは、気合や根性ではなく、日常動作の質を変える視点なのです。
慢性的な疲労を「体験として」変えてみたい方へ
慢性的な疲労は、知識だけで理解してもなかなか変わりません。多くの場合、身体が覚えてしまった使い方そのものが原因だからです。
当教室では、
太極拳の動きを用いて、全身の連動を取り戻す
アレクサンダー・テクニークの視点から、無意識の緊張に気づく
「正しい姿勢」を作るのではなく、疲れにくい使い方を体験する
こうした内容を、個別に、または少人数で丁寧に行っています。
運動が苦手な方や、「何をしても疲れが抜けなかった」という方ほど、変化を感じやすいのが特徴です。
まずは一度、身体が回復に切り替わる感覚を体験してみてください。
※ 本記事は都市部で慢性的な疲労を感じている方に向けた内容です。急性の痛みや強い症状がある場合は、医療機関をご利用ください。また、アレクサンダーテクニークは医療行為ではない事をご留意の上、お問い合わせ下さい。
このブログでは、痛みや疲れを「体の使い方」という視点から解説しています。
体の使い方シリーズはこちら
▶ 第2回:腰痛がなかなか変わらない人に共通する体の使われ方
▶ 第3回:姿勢を意識しているのに楽にならないのはなぜか
▶ 第5回:整えようとするほど、体は不自由になっていく
▶ 第6回:肩の痛みは「肩」だけの問題ではありません
▶ 第7回:この記事

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